八木沢の峠を越え、冬住と助常を行く。                      2009/5/16実施

 
 下の地図をご覧頂こう。表題にあるように私が2009年5月16日にチャリで走ったコースである。
青い線は、高の倉ダムサイトをスタートし県道12号線を経由し旧八木沢峠を目指す道であり、赤い線は廃道と化した旧道で、旧八木沢峠に通じる道である。 そして、緑の線は冬住林道と助常林道で、県道62号線を経由してスタート地点の高の倉ダムサイトに還る道である。
一周35km、標高610mを最高とする標高差560mの山間ツーリングのレポートである。

 
 

八木沢峠を目指して。

 
 2008年5月16日、前日まで行くかどうか決めかねていたが、意を決して行く事とした。
何故なら、年明けから不調であった体調は、眩暈こそしなくなったが、完全とは言い難い状態であったからである。
もちろん、チャリでの遠出も今年になってまだ2度目の事となる。
ならば、何故行くのか?
それは、半年近く経った今も変わらぬ体調の不良が、今後、これ以上の改善が期待出来ないと思い始めたからでる。
冬を待って行くのも、今行くのも同じと考えたのである。
それと、坂をチャリで登る荒治療が身体に渇を入れ、もしかしたら、復活するかもしれないと思ったのである。
そう、叩けば直ったあの頃のテレビのように・・・。
まさに、ボンクラの思考である。(笑)  
 
今回も、高の倉ダムサイトのいつもの場所をデポ地とし、午前8時31分、心の不安を打ち消すように最初のペダルを踏みおろした。

道はすぐに長い下り坂となり、久しぶりのチャリの感触を確かめる余裕もなく、チャリはぐんぐんとそのスピードを上げていく。
旅は、本日最高速となるスピードで始まったのである。
取り合えず、行ってみよう・・・。
 
 県道12号線までの道
 高の倉ダムの坂道を勢いよく下ってきたのは良かったが、県道62号線を左折し採石場へ通じる上りの市道で私の身体は悲鳴を上げた。 標高約120m、平均勾配7.0%程の坂である。私は採石場の作業員の目から隠れるようにチャリを降り、暫くの間息を整えるのがやっとであった。 正直、デポ地に戻ろうかとさえ思ったのである。
先はまだ長いのである。今なら戻れる・・・と。

 幸いな事に、永遠に続く坂は無いのである。チャリを押し、その歩みを止めない限り、道はいつか下りに転ずるのである。
再びチャリの恩恵を得た私に心の声はこう言ったのである。
「取り合えず、行ってみよう」と。

 挫折しかけた上り坂の向うは長い下りの道であった。緩い下りの道は私を新田川の側まで連れてきてくれたのである。
写真は新田川を渡り写した物である。
標識が示す通り左に曲がれば、飯舘、川俣と過ぎ、県庁所在地の福島市へと通じるのある。
しかし、その前にあるのは八木沢峠、今回の目標である。  
 
 
 
 県道12号線を行く
県道12号線、原町川俣線は、南相馬市原町区と伊達郡川俣町とを結ぶ主要地方道である。
福島県の太平洋沿岸地域である浜通りと県庁がある福島市や商業都市と呼ばれる郡山市がある中通りを結ぶこの道は、 地域にとって大変重要な道なのである。
平坦な道をゆっくりと漕いでいく。  
 
 
 おそうじをする・・・・って
 久々のチャリで峠を目指す者にとって、本格的な登板までの平坦な道はウォーミングアップにちょうど良いようである。
身体も少しずつではあるが馴染んできた気がする。行けるかもしれないと思い始めた私の目に飛び込んで込んできた看板は
「おそうじをする」である。少女とおぼしき子供が窓を拭いている絵と、ひらがなで書かれたメッセージは県道を通行する人々に 一体なにを伝えようとしているのだろう?「おそうじをしましょう」とクリーンアップを呼びかけているのでは無く、「おそうじをする」と 断じているのである。「おそうじをする」とは・・・?
狙いはマインドコントロールだと気付いた。「おそうじをする」の看板を見た者はその言葉の意味を考え、その言葉を頭の中で繰り返すのである。 そして、家に着いて散らかった部屋を目にした時、その言葉の呪文は解き放たれるのである。
そう、「おそうじをする」のである。・・・・・・。深い、深すぎるぞ原町商工会議所青年部!
でも、少女とおぼしき子供の眼、笑ってないんですけど。(マウスを乗せると拡大します)
 
 
 ねぎまの看板
 道端に立つヘキサである。まったくもって不足の無い完璧な標識である。
この標識に挟む疑問は・・・無い。
ただ、焼き鳥を思い浮かべたりするのは私だけだろう。(マウスを乗せると拡大します)  
 
 
 
 2009年5月16日9時24分
 デポ地を出発してから約1時間が経過した。県道12号線は原町区大原地区の集落を抜け次第に高度を上げ始めた。
既に車道と縁石で隔離された歩道は消え、唸りを上げるエンジン音が次々と私の傍らを抜き去って行く。
以外といっては何だが、交通量は想像以上に多い。
登坂車線で追い越しの追い越しをする車には驚かされた。標高は150mを越えた。  
 
 
 
 2009年5月16日9時28分
 登坂車線を上り詰め下りに転じると、その先に案内看板が見えてくる。県道267号線との合流地点である。
県道267号線大芦鹿島線はここを起点に八木沢峠の下を流れる上真野川に沿うように山を下り、JR鹿島駅へと続く道である。
現在地  
 
 
 
 2009年5月16日9時42分
 県道267号線との分岐から2km先左手に、不動滝がある。道より一段下に、木々に隠れるように古いお宮があるが、写真を撮っていないのである。
直線に転じた登坂車線を急ぎ駆け上がる車の数の多さに、立ち止まる事を躊躇したのである。
この不動滝の脇には短い旧道があるのだが、今回はスルーした。
写真は不動滝より100m程の物である。
「この先八木沢峠」と記されたその看板に、「いよいよ来た」と思いを新たにするのだが、 亀のごとく進むチャリに、長く伸びる坂の行く手は見えてこないのである。(マウスを乗せると拡大します)  
 
 
 
 2009年5月16日10時13分
 登坂車線の先、道はヘアピンカーブを描いて八木沢峠最長の沢見橋に突入する。
橋を渡ってすぐに道は直角に近い角度で左へと上っていき、いかなる車もブレーキなしで先を急ぐ事は出来ないだろう。
 大きく蛇行する上真野川に沿って道も円を描いていく。再びヘアピンカーブに入ろうかという位置に紅白の目印が見えてきた。旧道への入り口である。
その入り口には、人の出入りを拒むロープさえ無いが、その先に続く道は、新緑を纏った春の木々に覆い隠され、その奥を窺い知ることは出来ないのである。(マウスを乗せると拡大します)
 
 
 
 
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